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2025.07 シリコンバレーたぬきレポート

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 2025年7月、米国サンマテオで開催されたOPEN SAUCE 2025に参加した。自然科学・技術系のイベントである。 が、おじゃました展示ブースにて、紙とペンによる古めかしいスタイルのタヌキアンケートを実施した。その報告をする。 TANUKI アンケート TANUKI (Japanese raccoon dog)という動物を知っているか、を訊くアンケート。 ホンドタヌキの写真を添え、 日本にいるリアルな動物であること、アライグマ(raccoon)やイヌとは異なることを書いた。 シールを貼ってもらう構成のはずが肝心のシールを持っていくのを忘れてしまい、チェックマークを入れてもらう形に現地で変更した。 実施時期:2025年7月の2日間 実施場所: OPEN SAUCEイベント会場内、SF BayArea Japan Maker Communityブース (開始から4時間ほど経過したときの状態) 知っている 116、知らない49 結果、 165もの回答 をもらうことができた。 知っているとの回答は116、聞いたことがないとの回答が49で、 およそ2/3の人がタヌキを知っていると答えた 。 タヌキはもともとは東アジア・ロシア極東のみに生息し、現在ではヨーロッパの一部にも外来種として見られるものの世界的に見て生息エリアは限定的で北米には野生のタヌキはいない。 (飼育は Oklahoma City Zoo でされているようだ。ホームページで"tanuki (also known as raccoon dogs)"の表記が嬉しいね。Zoo Atlantaでも飼育されていたが亡くなったとのアナウンスを見つけた。) アメリカで調査したら半数も知らないかもしれないと思っていたため、結果には驚いた(嬉しいね)。 タヌキマリオの威力 なぜ知っているかの回答は、 Tanuki Marioが圧倒的 だった。アンケート用紙にも「Tanuki Mario」「Same」「MARIO!」など書かれている。 一度〈NO〉にチェックを入れた人が、隣にいた人から「タヌキマリオは?」と言われて「それなら知ってる」と取り消して〈YES〉にチェックを入れる場面もあった。 OPEN SAUCEでは自作の工作物等の展示がされるがその中でもマリオモチーフのものは多く、マリオ関連の衣装を着た人も多...

たぬきじんじゃ柳森神社

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東京は千代田区、秋葉原駅と岩本町駅のほど近くにある、小さいながらも(といっても立地を考えると総面積は相当なものである)一部では有名な神社。 一つには所狭しと色々な神社が同居している様が道路から見え目立つからもあるだろう。 また一つにはたぬき神社としてである。 まず二体の大きなタヌキ像が目を引く。狛犬のような対ではなく、大きさやデザインもばらばら、向きも揃っていない。 鳥居に向かって右のたぬき像。台座には「抜群」(たをぬく)の文字 鳥居に向かって左手にあるタヌキ像。すこし小ぶり。かわいい。 こちらが「おたぬきさん」福寿神の祠。 福寿神祠は、徳川桂昌院(五代将軍・綱吉の生母)が江戸城内に建立した「福寿いなり」に由来する。徳川桂昌は庶民の出から将軍(家光)の側室に、そして将軍(綱吉)の生母になった「玉の輿」の人。出世運、勝運のご利益があるとされている。 お賽銭箱に向かって左の狸 お賽銭箱に向かって右の狸。年季を感じますね  筆者のタヌキ作品も、お求めのかたのもとへの旅立ち前にお詣りしています。 あやかり、あやかり 入口の像や祠のみならず、あたりにもちょこちょことタヌキ像がいらっしゃる。 見つけたときはちょっとギョッとしてしまった、真っ青狸 おたぬきさん由来書 もう数年前のことだが(そのときでも残り僅少とのお話だったからもしかしたら終わってしまったかもしれない)親子たぬきのお守りも授与いただいた。 筆者の個展にもいつもお越しいただいております

2025.03 香港たぬきレポート

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 2025年3月、所用で香港に。あわせてタヌキ調査を行った記録を。 TANUKI INNOVATION 九龍島、Tsim Sha Tsuiのフェリー乗り場近くにある。外に看板もなく、これと思しきビルのフロア案内には「誠品書店」しかなく「別の建物か」と周囲をぐるぐるした。実のところこの誠品書店の一角にある飲食店であった。 「Western-Japanese fusion」とのことで、西洋風と日本風をかけあわせたジャンルを標榜している。料理に日本茶やうなぎが使われておりそのあたりが「日本風」のようだがキムチなど韓国要素もあり「香港から見た異国風混然」という感じ。 どうやら現地のアイドル(?)がプロデュースするお店らしい。 動物のタヌキモチーフのグッズの他、アニメ調のタヌキ擬人化イラストグッズも売られていた。 価格は割高(街中に着いて最初の飲食だったためこのときはわからなかったが香港の他のカジュアルな飲食店と比べて高め。コーヒー1杯50HKDほど)、店員さんの態度はよくない(がこれは香港で標準的ともいえる…)でタヌキ以外の印象はあまりよくない。 六十餘洲(長崎)、山吹ゴールド(秋田)、天の戸 醇辛(秋田)などの日本酒ボトルも。太白銀虎は東洋美人らしいが、香港向け専用なのか、日本の東洋美人(山口)とは別なのかに香港の商品紹介ページしかヒットせずよくわからず。 "タヌキ"店名はない この他にタヌキ関連の店名はGoogle Mapsで見つからなかった。 シンガポール、台北ではタヌキの名前をつけたizakayaが複数見られたが、香港には2025年春現在ないみたいだ(izakayaはたくさんある。日本食は人気らしい)。 G. O. D. 香港島にある雑貨店GOODS OF DESIREで見掛けたノートについて。 このお店はお土産を買うのに有名なお店らしい。 動物柄のノートの中にタヌキもいた。 アイマスクタイプですな。 表記は"Tanuki"! 英語表記はraccoon dogよりtanukiが意外とメジャーなのだろうか。 中国には野生のタヌキがいるが、それは北東部~北京などの華北あたりらしく香港にはいないらしい。ちなみに中国語でタヌキは 狸猫(読みはグーグル先生によるとリーマオ)、貉(同ハオ)などというそう。 おしまい

日本三名狸! 太三郎狸ゆかりの屋島レポート(高松)

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1年以上経ってしまいましたが(執筆は2025年9月3日)記録を! 香川県高松市、屋島。南北に長い小高い台地が瀬戸内海に張り出した地域だ。 屋島寺 ここに屋島寺がある。この寺は八十四番札所で、お遍路の人もちらほら見掛けた。 本堂のわきに高名な狸が祀られている。 屋島太三郎狸 である。 弘法大師(空海)が霧深い屋島で道に迷ったとき、蓑笠を着た老人に山上まで案内され、その老人が実は太三郎狸が化けたものだった、という伝説がある。 太三郎狸は数々の善行をつんだために土地の地主の神として祀られたそうだ。 " 四国狸の総大将とあがめられ、その化ケ方の高尚さと変化妙技は日本一であった "とのこと。 しかし「禿」「禿狸」などとも呼ばれるそうで。それでいいのか、面白い距離感だ。 さてその蓑山大明神。 鳥居の並ぶ立派な参道と、その入り口左右には鳥居と同じくらいの高さがあるでかい狸像がある。 その奥、正面にも信楽焼の狸像が。 突き当りを少し左手に進んだところに塚がある。鳥居の仰々しさに比べるとこぢんまりした囲いの中に所狭しと狸像が置かれている。古いものも、比較的近頃のファンシーなものも見られた。 その奥にも鳥居が続く。こちらは蓑山大明神とはまた別で、稲荷神社だった。つまり狐である。 こちらも狐像が多めでかわいい。 本堂の方に戻る。 こちらは鬼? かわいい像の多いお寺だ 授与品にも太三郎関連のものがちらほら。 土鈴と絵馬をいただいた。 やしまーる 屋島寺から山を登って屋島の北端に「やしまーる」という施設がある。お土産物屋、レストラン、展示室やシアターまである複合施設だ。 瀬戸内の海を臨む たぬきケーキをいただいた。 お土産物も太三郎狸にちなんだものがいくつかあった。 写真はたぬきまんじゅう。 「たさぶれ」なるサブレも。お上手。 その他屋島 案内板も狸押しである。 やしまーる、水族館(山の中に!)、源平の史跡などもあり、観光地であるとともに地域のレジャースポットでもあるようだ。 ふもとには屋島ケーブルカーの廃駅がある。 色々と見るもののあるエリアだった。

アジアの日本風izakaya「TANUKI」観測

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海外で見掛けた「タヌキ」店名観測報告。 台湾、シンガポールで見掛けたTANUKIなお店は日本風Izakayaだった。 香港では意外にもGoogle Mapsで見る限りIzakayaのTANUKIはないよう。見つかったのは多国風カフェレストランのみだ。 海外で日本食が人気と言われて久しい。特定の料理だけではなく"Izakaya"という形態(?)も人気だそう。そこで日本でポピュラーな「TANUKI」の名前がつけるられることがときどきあるようだ。 イタリア(ローマ)、トルコ(イスタンブール)、アメリカ(シリコンバレー)では見掛けなかったが、アジア以外でのTANUKIなお店も見たいものです。 台北(台湾) 狸貓酒食屋  地図 ここは地図情報でではなく、宿から散策してるときにたまたま見つけた。 台北では知っている人の多いお店らしい。 地図情報で見つけた下記も気になる。(現物は未見) 狸炉端焼日式居酒屋 https://maps.app.goo.gl/9k6YKsfHegGyF1469 派手にタヌキ像やタヌキ文字があるよう。 Li Jun Izakaya Restaurant https://maps.app.goo.gl/JCojahZfvavHnw6A7 こちらは落ち着いた外観、やはり信楽焼のタヌキ像があるようだ。 シンガポール Tanuki Raw  地図 たまたま使った宿とくっついていた商業施設内にあり、見つけたときは不意のことにびっくりした。 この店のタヌキは細身で、すこし意地悪そうな風貌をしている。 韓国ではずる賢く、人を騙すイメージ、かわいいばかりではない野生動物の危なさから、ちょっと悪役的な見方が長年強かったと(それが近年はかわいいイメージが強まってきたとも)聞いたが、似たような背景なのかもしれない。 シンガポールには野生のタヌキがおらず野生動物としての怖さや実害はないため、全く違う経緯の可能性もある。 真ん中がシュッと白かったり、目の上が白いのはハクビシンやアライグマを連想させる。日本以外の国ではこれらは言語的に区別されなかったり、一般人の知識として混同される(これは日本も)ことが多く、名前は「TANUKI」であるがタヌキ属のあの生物を指すのではなくもう少し広いコンセプトなのかもしれない。 シンガポール内に姉妹店があるようだ( 地図 )。 ...

2024.05 狸菩薩お詣り(相模原)

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狸菩薩に。 神奈川県は相模原、田名の山裾の洞穴にその祠はある。地名は「ひの坂」らしい。 すぐそばも住宅地、太い県道からも近い。写真ではわかりづらいが人里の祠である。 中には狸菩薩の祠しかない。専用の洞穴である。 これまでメインの社殿・エリアに狸要素はなく、そのわきに狸の神社祭壇があることが多かったため、質素ながら単体でおわすことが印象的だった。 旗も手書きのようだし、両脇の狸像に狛犬のような統一感はなく無造作に並べられた疑いがある。右手の像は寝そべっている。なんだかゆるい。 しかし旗は2024年1月吉日とあり、現在まで更新されよく親しまれているようだ。ちなみに 相模原市立博物館の職員ブログ  の2000年撮影の写真には、すでに古めかしい様子の祠が写っており、2024年1月にいきなりできたものではない。ご安心を。 出典: 相模原市立博物館の職員ブログ この写真のときから狸像が増えているのもちょっと面白い。 由来 さて、 同ブログ記事 には狸菩薩の由来も記載されていた。 いたずらが過ぎる狸に、たまりかねたおばあさんが炭をぶつけ、狸が火だるまになって坂を転げ落ちたとの伝承からひの坂(火の坂)と呼ばれるようになりました。 どうもおばあさんの家に頻繁に勝手に入ってぐうぐう寝ていて、その日もぐうぐう寝ていたところに炭を投げつけられたらしい。 まぬけな狸ぽんな。  また サザンロード相模台商店街ウェブサイト中「さがみっぱらの昔話」 によると、 大正になって、近所に住む人が、この坂で怪我をしました。その折、狸の祟りだというお告げを聞いて、狸菩薩として祀り、当時はご利益があると評判になり、大変にぎわったそうです。 とあり、祟りを恐れて建立されたとされるようだ。こわい狸ぽんな。   この「大変にぎわって」が凄かったために通路の妨げにならぬよう洞穴を掘って祀ったという説もあるらしい。大人気ぽんな。 狸と火 有名な昔話・カチカチ山も狸が燃える。 狸と火は何か関係が深いのであろうか。今度調べてみようと思います。情報お持ちの方はぜひ教えてください。 余談 宮ケ瀬湖 火だるまになる話を聞いた後、水を求めて西に向かい宮ケ瀬湖に。ダムも見たかったが駐車場入り口が渋滞していて断念。しかし湖畔の公園のようなところも清々しいよいところでした。 湖の怪獣タヌッシー

2024.04 シンガポールたぬきレポート

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 2024年4月、 シンガポールで暮らすタヌキに会うべくシンガポール動物園・ナイトサファリに行ったり、シンガポール人にタヌキのイメージをきいたり、の記録。 X(Twitter)でのsylacwaの投稿 をまとめたものです。 シンガポール動物園 日本から贈られたタヌキがいるという情報があったが現在シンガポール動物園では見られない。 園内地図にも、公式アプリの動物一覧にもなく職員さんにraccoon dogの場所を質問。結果いないと。「かわりに」という調子でafrican wild dogを紹介されてびっくり面白かった。 ナイトサファリ サファリのショーに出るとのネット情報もあり、注意していたらfrom Japanの前振りが聞こえ小柄なタヌキが登場! 巨大画面には信楽狸タイプと思しくもなんだか独特のタヌキ像とTANUKIの文字も。 他の動物は特技など披露したがタヌキは小さなエリアをふんふん歩いただけてご退出……。 ショーでは日本でもよくタヌキと混同されるcommon raccoon、アライグマも登場。 鞄を漁ろうとしたり、瓶の蓋を開けたり、コミカルかつパワフルに動き回っていて会場を沸かせていた。ぐぬぬ人気があるのも頷ける。同時にこの賢さ器用さ、身近にいたら大変ぽんなとしみじみ思いました。 インタビュー 仕事後、ロビーまで送ってもらう数分で実施。 “legendary”はおとぎ話のとか空想上のくらいの感覚で用いられたと想像するがlegendの響きに大興奮。タヌキが身近でない(もともとSGに野生はいない)・話では知っているというタヌキとの距離感が一言に詰まっていて面白いね。 以上、シンガポールたぬきレポートでした。